ハーモニー・バイオサイエンシズ(ティッカー:HRMY)

米国株紹介
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ハーモニー・バイオサイエンシズ(Harmony Biosciences)について解説します!

① 2020年8月19日にナスダックに上場

② 医療ニーズが満たされていない神経疾患の治療薬の開発を行う

③ ナルコレプシー治療薬「WAKIX」は既にFDA承認済み

ハーモニー・バイオサイエンシズ(Harmony Biosciences)は2020年8月19日にナスダックへ上場し、株価上昇中

ハーモニー・バイオサイエンシズ(以下、ハーモニー)は8月19日にナスダックへ上場した製薬企業になります。医療ニーズが十分に満たされていない精神疾患に対する治療薬の開発を行っています。

この会社が他の多くの新規上場を行う製薬企業と異なるのは、既にFDA承認済みの治療薬を持っているという点です。承認済みの薬があるということは、収益を生み出すことが可能であるということであり、早期に赤字が解消される可能性があります。

出典:Google

こうした背景もあり、株価は40ドルを超える水準に達しており、20~23ドルのターゲットレンジを大きく超えていることからも大きく期待されていることが覗えます。

目論見書によると今回の上場で得た資金は、今後実施予定の臨床試験やライセンス使用料に充てられるようです。FDA承認済みの薬を保有しているとはいえ、累計赤字が2020年3月31日の時点で、4億7,230万ドルあり、当面は赤字が続くとみられています。

ハーモニー・バイオサイエンシズ(Harmony Biosciences)はナルコレプシー治療薬「WAKIX(pitolisant)」を保有している

「WAKIX(pitolisant)」はBioprojetから導入した薬

ハーモニーの重要な収入源である「WAKIX(pitolisant)」は、実はハーモニーが見出した薬ではありません。「WAKIX」はBioprojetという会社によって開発されたもので、ハーモニーはライセンス契約に基づいて米国での開発・製造・販売を行うことになっています。

「WAKIX」は2016年にナルコレプシーの治療薬として欧州医薬品庁(EMA)によって承認済みで、ハーモニーとしてはかなり高い確率で米国での臨床試験をクリアできるという計算もあってライセンス契約を行ったと考えられます。事実、ハーモニーによって実施された臨床試験の結果は良好なものであり、2019年8月にFDAから承認を得ました。

ハーモニーとしてはライセンス料をBioprojetに支払い続けなければならないですが、「WAKIX」がきちんと売れれば利益を得ることができます。そのため、「WAKIX」のマーケティングに多くの資金を投入しています。

ナルコレプシー市場について

ナルコレプシーは中枢神経の異常によって生じる過眠症です。マンガやドラマで出てくる突然眠っちゃう病気の事ですね。米国では16万5,000人がこの病気に罹患していると推計されています。ナルコレプシー市場全体の2019年売上高は18億ドルとされています。

「WAKIX」以外の治療薬およびその問題点

「WAKIX」承認前の時点では6つの薬がありましたが、いくつかの問題点を抱えていました。

WAKIXの商品化に先立って委託した第三者調査で、調査されたナルコレプシー患者200人のうち、93%(169人の回答者のうち157人)は現在の治療オプションに不満を示していました。これは6つの治療薬の効果が不十分であったり、重大な副作用があったことが原因であると考えられます。

また、6つの薬は全て規制薬物に分類されています。簡単に言うと麻薬であるため、依存性があり使いすぎてしまう恐れがあるので、厳しく規制される対象となっています。

こうした現行の治療法に不満があるという調査結果は「WAKIX」が現行の治療に取って代わる可能性を示しているといえます。

「WAKIX」の優位性

「WAKIX」はH3受容体拮抗薬(これについては後述)という種類の薬になりますが、他には同じ作用機序で効く薬はありません。これは他の薬との差別化につながる上に、他の治療薬と併用できるというメリットにもつながります。現行の薬と違って規制薬物には分類されることもありません。1日1回朝、経口で服薬するため、患者さんの負担も少ないです。

「WAKIX」の作用機序

*専門的な話になるので興味のない方は読み飛ばしてください*
*また以下作用機序の解釈は個人的な見解です*

みなさんは花粉症の薬で眠くなるという話を聞いたことはないでしょうか?あれはいわゆる抗ヒスタミン薬というヒスタミン受容体をブロックする薬によって起こる副作用です。つまり、ヒスタミンは睡眠に関係している物質であると言えます。

睡眠に関係する中枢神経ではH1受容体とH3受容体という2つの受容体が存在し、それぞれの役割が異なります。H1受容体の活性化は覚醒(起きている状態)を誘導する方向に働きますが、H3受容体は自己受容体に分類され、活性化するとヒスタミンの分泌は抑制されます。

投与された「WAKIX」はH3受容体に結合し、H3受容体の活性化を抑えます。これによりヒスタミンの分泌は促進される方向に働き、H1受容体が活性化されることで睡眠のバランスが調整され、ナルコレプシーの症状が改善されると考えられます。

「WAKIX」の今後の展開

ナルコレプシーの治療薬として承認されている「WAKIX」ですが、売り上げの拡大戦略としていくつか展開が考えられています。

まず、対象患者の拡大です。小児のナルコレプシー患者への適応拡大を狙っているようです。また、ナルコレプシー以外の神経疾患にも適応できないか検討されています。

上記以外にも、米国以外の市場に「WAKIX」を展開できないか、ライセンス権をBioprojetと協議しているようです。

ハーモニー・バイオサイエンシズ(Harmony Biosciences)のパイプライン

ハーモニーは導入品である「WAKIX」以外には自社で研究開発は行っておらず、「WAKIX」の適応拡大の臨床試験のみ行っています。資金が増えれば新たな候補薬の導入を行う可能性はありますね。

ハーモニー・バイオサイエンシズ(Harmony Biosciences)の将来性

他社から導入したものとはいえ、すでにFDA承認済みの薬を持っているのはメリットだなと感じました。臨床試験でこけるということを考えなくてよいのは大きいです。今後、マーケティングや適応拡大に成功すれば十分利益を出せるのではないかと思います。ナルコレプシー治療薬としてどの程度シェアを確保できるかが大きなカギとなってきそうですね。米国以外でも展開する可能性があるとのことですので、しっかりウォッチしていきたいと思います。

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