【解説】ノババックスのフェーズⅠ臨床試験の結果について

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ノババックス(Novavax)のフェーズⅠ臨床試験の結果について解説します!

① 第1相試験は131人を対象に実施し、免疫反応の有無や安全性を調べた

② ワクチンにより参加者の100%で免疫反応が確認され、アジュバント(Matrix-M)の有効性も期待できる結果となった

③ 有害事象(≒副作用)は軽いものがほとんどだった

ノババックスのワクチンってそもそもどんなものだっけ?

世界中でワクチンの開発競争が繰り広げられていますが、2020年8月4日にノババックス社のワクチン「NVX-CoV2373」のフェーズⅠ試験の結果が発表され、その結果はとてもポジティブなものでした。

ノババックスがどんな会社なのかについては以前記事にしてますので、そちらもどうぞ。

さて、臨床試験の結果を見る前に、ノババックスの開発しているワクチンがどのようなものであったかについて振り返ります。

ノババックス社の開発しているワクチンは上記の図のようなタンパク質になります。ウイルスの表面にある構造を模したものになっており、これがヒトの体内に取り込まれると、COVID-19に対する抗体が体内で作られるようになり、COVID-19に感染しても症状を軽く抑える効果が期待できるというわけです。

タンパク質を主体としたワクチンは、モデルナやバイオンテックの開発しているRNAを主体としたワクチンと比較して、

① 臨床試験での経験値が多く承認に有利(過去のデータが多いため判断しやすい)
② 安定しているため保存・輸送が簡単である(世界中に届けやすい)

といったメリットがあります。そんなノババックスのワクチンですが、フェーズⅠ試験の結果はどのようなものだったのでしょうか?

フェーズⅠ試験はどのように実施されたのか?

今回の試験には18~59歳の成人131名が参加しました。上の図のように5つのグループに分かれて試験は実施されました。

グループA:プラセボ(偽薬)のみ
グループB:1日目と21日目にワクチンのみを投与
グループC:1日目と21日目に少量(5μg)のワクチンとアジュバントを投与
グループD:1日目と21日目に少し増やした(25μg)のワクチンとアジュバントを投与
グループE:1日目だけ少し増やした(25μg)のワクチンとアジュバントを投与

まず、グループAはプラセボなので特に何も投与されていないことになります。グループBはワクチン(NVX-CoV2373)だけを2回投与してみてどうなるのかというグループになります。

この試験で重要なのはグループC~Eの結果になります。この3つのグループではいずれも「Matrix-M」というアジュバントが使用されています。アジュバントについてはワクチンと一緒に投与することで免疫反応を大きくするもの(COVID-19に対する抗体をつけやすくするもの)だと考えてください。

グループEでは1回の投与で十分な結果となるかを検証しています。当たり前ですが、ワクチンを接種する人からすれば、接種する回数は少ないほうがいいのでこのような検証も行われました。

それでは結果はどうなったのでしょうか?

ワクチン+アジュバントの2回投与で抗体が多く作られた

まず、どのくらいの抗体がワクチンによってつくられたのかを見ていきます。上の図で赤い◆が上にあればあるほど、抗体がたくさん作られたと思ってください。

すると、グループCおよびグループDで値が高くなっていることがわかります。特に2回投与後の35日目で多くの抗体が作られていることがわかります。一番左のHCSは実際のCOVID-19感染者のサンプルで検証した結果になるため、数だけで言えば十分な抗体が作られていることがわかりますね。

機能的な抗体が作られていた

さきほどの図で抗体が作られていたことはわかりましたが、「臨床的に意味のある(COVID-19感染症予防になる)」抗体が作られていなければ意味がありません。そのため、意味があるものだったかも調べられています。

上の図では高ければ高いほど、作られた抗体にCOVID-19を中和する力(やっつける力)があったことを意味しますが、グループCおよびグループDの2回目の投与後は抗体が作られた上で、COVID-19に効果のある抗体が作られていることが示されています。

もちろん実際にワクチン接種後にCOVID-19に感染した結果ではないですが、COVID-19に対して非常に有効なデータが示されたと言えるでしょう。

また、上の図の一つ一つの〇は参加者一人一人のデータなのですが、グループCおよびグループDの2回目の投与後は100%(全ての)参加者で有効な抗体が作られていることを示しており、この結果も次に期待が持てるものとなっています。

有害事象(≒副作用)はほとんどが軽いものだった

上の図ではどのような有害事象(≒副作用)が臨床試験の中で発生したのかを示しています。黄色が重度の有害事象になりますが、ほとんど出現していないことがわかります。

免疫反応が起こることによって生じる痛みや頭痛、疲労、筋肉痛といったものが症状として報告されていましたが、どの症状も平均すると2日未満で良くなったとされています。

また、死につながったり、重い障害が残るような深刻な有害事象は確認されておらず、ノババックスのワクチンが安全に利用できる結果を示しています。

まとめ

ノババックスのワクチンは今回の臨床試験で非常に有望な結果を残したと言えます。

ワクチンを接種することできちんと抗体が作られ、かつその抗体が有効なものであると示されていて、かつ安全なものであるという結果はこれ以上ない結果だったのではないでしょうか。

特に、アジュバントを使用することによりコロナ感染者と同等またはそれ以上の免疫反応を引き起こすことができたのは大きな収穫です。

一つ残念だったとすれば、1回投与の結果が微妙だった点ですかね。いまのままでいくと最終的に2回投与することで落ち着きそうな感じはします。

まだフェーズⅡ、フェーズⅢがあるのでその結果も見ていきたいです!

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