リジェネロンの抗体カクテル(REGN-COV2)とは?臨床試験の結果は?(2020/9/29時点)

ニュース
スポンサーリンク

リジェネロン(Regeneron)の抗体カクテル(REGN-COV2)について解説します!

① 抗体カクテル(REGN-COV2)とは2つのモノクローナル抗体(REGN10933とREGN10987)を組み合わせたもので、ウイルスが細胞の中に侵入するのを防ぐことで早期回復を目指す

② 今回発表されたデータは入院していない(まだ重症化していない)患者275名を対象に実施されたものであり、今後入院患者に対しても臨床試験が実施される予定である

③ 比較的ウイルス量が多い患者では、プラセボ(偽薬)群に対して約99%のウイルス量の減少が認められたが、20%の患者では症状の改善が見られていないというデータもあり、慎重に見ていく必要がある。

↓↓↓Twitterのフォローお願いします↓↓↓

はじめに

2020年9月29日にリジェネロン社の抗体カクテルについて275人分の臨床試験の結果が公表され、さらには未承認にもかかわらずトランプ大統領が投与した(いわゆる人道的見地から行われる使用)ことで話題となりました。そこで私なりにどのようなデータが出ているのか解説してみたいと思います!結論から言うと、今回発表されたデータは少し微妙な感じであり、新型コロナウイルスを完全に駆逐するまではいかない(あくまで症状の緩和になる)のではないかというのが正直な感想です。それでは解説していきます。

注:本記事に記載されている内容はあくまでブログ運営者の個人的な見解です。内容について一切の保証はできません。データソース(リジェネロン投資家向け資料など)をご自身で確認することをオススメいたします。

リジェネロン(Regeneron)はどんな企業?

出典:リジェネロン社HP

まず、リジェネロンという企業ですが、ナスダックに上場(ティッカー:REGN)している米製薬大手になります。すでに7つの治療法がFDAによって承認済みであり、眼疾患、アレルギー性・炎症性疾患、がん、感染症、希少疾患などを対象として医薬品の開発を行っています。

最近では加齢黄斑変性などに用いる眼科用VEGF阻害薬アイリーア(一般名:アフリベルセプト)やアトピー性皮膚炎などに用いるヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体デュピクセント(一般名:デュピルマブ(遺伝子組換え))などを見出し、世に送り出しています。

抗体カクテル(REGN-COV2)とは?

出典:リジェネロン投資家向け資料

そんなリジェネロンが開発する抗体カクテル(REGN-COV2)とはいったいどんなものでしょうか?上の図が抗体カクテルの本体で、REGN-33とREGN-87(REGN10933REGN10987)という異なる2種類の抗体を組み合わせたものであることがわかります。まさにカクテル(混ぜたもの)というわけです。

ウイルスは自分だけでは増えることはできず、ヒトの細胞に侵入することではじめて増えることができます。その侵入に必要なのが細胞の表面にあるタンパク質(上の図のACE2 Receptor)に結合するという過程です。この過程を阻害しようというのが今回の抗体カクテルの作用機序になります。つまり、抗体カクテルは新型コロナウイルス自体を攻撃するものではなく、あくまで増殖するのを抑制することで病気の回復を早めるというものになります。(新型コロナウイルスの増殖については以下リンクが参考になるかと思います!)

今回の臨床試験ってどんな試験?

出典:リジェネロン投資家向け資料

今回発表されたのはフェーズⅠ/Ⅱ/Ⅲ試験に組み込まれた最初の275人のデータになります。約56%がヒスパニック、約13%がアフリカ系アメリカ人でした。また、参加者の平均年齢は44歳で、49%が男性、51%が女性、いずれの参加者も新型コロナ陽性ですが、入院していない患者でした。

入院している患者を対象とした試験は別途行われており、今後その結果が発表されるでしょう。つまりここで押さえておかなくていけないポイントは今回のデータは入院していない人、つまり感染初期の段階の人を対象に投与が行われた結果ということです。

ベースラインのウイルス量が多い患者では、抗体カクテルによってウイルス量が約99%減少した

出典:リジェネロン投資家向け資料

おそらくリジェネロンが一番アピールしたいのがこのデータかと思います。縦軸がウイルス量、横軸が経過日数だと思ってください。また、青がプラセボ(偽の薬を投与した)群赤が抗体カクテル低用量群緑が抗体カクテル高用量群になります。このウイルス量のデータでは高用量も低用量もあまり変わらなそうですね、むしろ低用量の方が良さそうに見えます。

また、一番右のグラフがベースライン(最初の段階)でウイルスの量が多かったグループの結果になります。これを見ると7日目の時点でプラセボ群に比べて抗体カクテル群(低用量および高用量)は約99%ウイルス量が減少していることが分かります。これが今回の抗体カクテルがすごく効くのではないかといわれている根拠になります。

たしかにこのデータを見ると嫌でも期待感を煽られてしまいますが、次のデータを見ると少し見方が変わってくるかもしれません。

28日目時点で症状が改善されたのは抗体カクテル投与群の80%

出典:リジェネロン投資家向け資料

こちらのデータは28日目時点までどのくらいの割合の人が症状改善したのかをみたものですが、抗体カクテル投与群(の線)では最終的に80%の人が症状改善していることが分かります。一方でプラセボ群(の線)では60%強が症状改善しています。

うーん、7日目時点でウイルス量が大幅に減少しているにもかかわらず、約20%は治療の効果を実感できていないということですね。つまりここからわかるのはウイルス量が減少したからといって症状が必ずしも改善するとは限らないということです。

プラセボ群でも、つまり治療を行わなかったとしても約60%強は症状改善するわけですから、抗体カクテルは約20%弱の人を症状改善に導いたとなるわけなので、これはそこまで大幅な改善なのでしょうか?個人的にはかなり微妙な気がします。

最後に

はい、どうだったでしょうか?今回得られた結果が臨床的にどれほどの意義があるかは私には正直わかりませんが、最初に「99%のウイルス減少効果」と聞いた時よりは少し懐疑的な目線でこの抗体カクテルについて見るようになりました。今後、入院患者を対象とした結果も出てくるということなので、その結果もどうなるか見ていきたいところですね。みなさんもぜひ元のプレスリリースなど読んでみてください!ニュースやTwitterで出回っている結果がいかに条件付きの結果であるか分かると思います!

コメント

タイトルとURLをコピーしました