ザイマージェン(ティッカー:ZY)

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ザイマージェン(Zymergen)について解説します!

① ナスダックにティッカーシンボルZYで上場予定

② 合成生物学をもとに非常に幅広い分野で事業を展開

③ 新製品が市場に投入されるのは来年以降、まだ赤字が当分続く見込み

本記事の内容にはタルボットの主観が多数含まれており、内容の正確性は保証できません。ご自身でも調べられることをオススメします。

ザイマージェン(Zymergen)はナスダックに上場予定

どうも、タルボットです。
さて今回ですが、合成生物学の企業第2弾としてザイマージェンを紹介します。この企業について理解するためには合成生物学についても理解しておくことが必要かと思いますので、先にアミリスの記事を読んでいただくことを推奨します。こちらの記事に初心者の方向けにも分かるように合成生物学について解説しております。

ザイマージェンについては私も調べるまでは全然知りませんでしたが、将来的にはアミリスよりも有望なのではないかと感じる点がいくつもありました。

ナスダックに上場することが予定されていますが、上場に伴って得られた資金の用途については明らかにされていません。

ザイマージェン(Zymergen)のビジネスの特徴

We Make Tomorrow \ Zymergen

冒頭で触れた通り、ザイマージェンは合成生物学の企業になります。アミリスと同じく、

原料 → 微生物 → 目的の物質

という流れで製品を生み出していくことは共通しています。まずここは押さえておいてください。

材料化学市場の停滞、それに対する挑戦

材料科学の市場は非常に巨大で、ザイマージェンの試算によるとその規模は世界で3兆ドル。しかし、それだけ巨大な市場がありながらも、革新的な新規物質が出てくるスピードは年々低下してきているとザイマージェンは指摘しています。

IHS Markitの報告によると、20世紀の中頃では10年に約4つの新規物質(ポリマー)が出てきていましたが、最近では10年に1つの割合になってきているとされます。つまり、新しい物質を作り出すことができていません。

また、コストも莫大であることが指摘されています。ザイマージェンはケブラー(アラミド)の例を挙げています。Delaware Onlineによるとケブラーの開発には10年の歳月を費やした上に、約5億ドルという費用がかかっているとされており、材料科学市場の問題点がこの例を通じて分かると思います。

まとめると、ザイマージェンはこの停滞感を合成生物学を使って打ち破ろうとしているというわけです。

ザイマージェンの新製品発売のタイムラインとコストは、5年で5000万ドル

出典:SEC S-1 Filing

さて、ザイマージェンが提供するソリューションはなんと、5年、5000万ドルで新製品を発売するというものです。期間は今までの半分、費用も10分の1程度ということですので、本当に実現するのであれば驚きですね。こうした期間の短縮と費用削減が実現するのは合成生物学的手法およびその自動化・効率化によるものです。

ザイマージェンの製品には機械学習やロボットによるオートメーション化が積極的に取り入れられており、微生物の開発プロセスを無人化していることで、その実態は半分がロボット企業で、半分がソフトウェア企業となっているのは大きな特徴です。

バイオファクチャリングの3つのステップ

バイオファクチャリングというのは、おそらくザイマージェンの造語です(笑)
意味的には新製品を世に送り出すための全体の流れのことを言っているんだと思います。
ザイマージェンの製品開発には次の3つのステップがあります。

① 製品の設計
許容可能なコストで必要な性能を発揮できる材料を開発

② 微生物の作成
生体分子を作る微生物を作成し、材料のライフサイクルに最適な微生物を選択

③ スケールアップ
微生物の最適化、発酵、下流プロセスを含むエンドツーエンドの生産プロセスを開発し、最終的にスケールアップ

① 製品の設計

まずは、どんな製品を作るのかを設計します。ザイマージェンでは微生物で作成できる物質を75,000個ほど蓄積しており(内訳は75,000個のうち、10,000個はザイマージェン独自のもの、残り65,000個は外部のデータベースのもの)、この中から目的に合っている物質をスクリーニングします。ただし、この数字は現在アクセス可能な物質の数であって、研究が進むことで今後どんどん増えていきます。

出典:SEC S-1 Filing

また、この75,000個のうちから目的に合った物質を選ばないといけませんが、上の図のようなツールを独自に作成しており、開発しやすい環境を整えています。さらにシュミレーションなどにも機械学習を導入することでスクリーニングの効率を向上させています。

② 微生物の作成

目的の物質を見つけたら、次のステップは微生物の作成です。目的の物質を作ってくれる微生物をデータベースの中から選択します。微生物の中で目的の物質を作る経路はいわゆる生合成経路というものですが、この生合成経路をゲノム編集ツールを使って、最適化を行っていきます。

ザイマージェンでは29種類の微生物(15グラム陽性菌、6グラム陰性菌、4酵母、4糸状菌)で開発の経験があり、それだけ多くの候補物質のアクセスできるということになります。

③ スケールアップ

微生物を作成してもそのまま製品化することはできません。微生物の物質生産効率を向上させて大量生産をできるようにしなければなりません。ザイマージェンの指摘ではこのステップがうまく行かずに消えていった合成生物学の企業が数多くあるそうです(スケールアップは2番目に大きなハードル、ちなみに1番のハードルだったと指摘しているのは、目的の物質を発見してくるところ)。つまりそれだけ難しいということですね。

出典:SEC S-1 Filing

スケールアップがうまくいかない理由としてザイマージェンが指摘しているのが、微生物の遺伝子の役割が全て解明されていない点です。学会などでよく研究されている微生物であっても20〜30%の遺伝子に関してはどのような働きを持っているのか分かってはいません。一般的によく聞く、「ゲノムの解読が終了した」というのはあくまでATGCという塩基の並びが分かっただけに過ぎません。それぞれの遺伝子がどのような役割を持っているのかという研究は今後もつづくのです。

この点をザイマージェンがどのように克服しているかといえば、機械学習システムOrionの構築です。つまり、ザイマージェンの発想は、「遺伝子の役割全てを理解することは難しい、それならば、ひたすらロボットによるトライ・アンド・エラーを積み重ね、機械学習を活用することで最短ルートでプロセス研究を行う」というものです(タルボットの解釈)。このシステムには微生物に与える原料はどのようなものがいいのか、また副産物としてどのようなものが生まれるのか、どのくらい微生物が増えるのが早いのか、目的の物質が最終的にどの程度の量・クオリティで得られるのかを指標としてプロセス研究が行われています。

考え抜かれた市場の選択

出典:SEC S-1 Filing

ザイマージェンは微生物が作れる物質が使われる市場にはアプローチ可能であるため、理論的にアプローチできる市場規模は1.2兆ドルで、20以上の市場に跨っています。ただし、漠然とこれらの市場にアプローチしても失敗するとザイマージェンは考えており、市場の選択に関して次の3点を重要視しています(注:タルボット雰囲気解釈)。

① バイオベースの材料が、差別化された利点を十分に活用できる市場
② 魅力的な参入余地があり、かつそれが達成可能であると考えられる価値の高い市場
③ 新製品開発のタイムラインを短縮できたり、既存企業と有益なパートナーシップを構築できる市場

このあたりの条件は割と納得できるというか、かなり論理的に考えているのではないかなと感じました。

出典:SEC S-1 Filing

こうした基準のもと選択されたのが、エレクトロニクスコンシューマーケア農業という3つの市場です。ただし、これはあくまで初期の3つと書いてあり、これらの市場の優先順位が高いだけで、今後は別の市場も狙っていくという目標はあるみたいなので、とても期待できます。この3つの市場の規模は約1,500億ドルと見積もられています。

① エレクトロニクス
出典:SEC S-1 Filing

ザイマージェンは、短期的にはスマートフォン、タブレット、ノートブック用の光学フィルムの開発に焦点を当てています。すでに発売を開始しているHyalineに関して業界のパートナー企業と提携しており、日本の住友化学とも協力体制をとっています。

IHS Markitレポートによると、2019年の特殊フィルム(光学フィルムを含む)の市場規模は250億ドルと見込まれています。今後は接着剤やコーティング、プリンテッドエレクトロニクスの基板、ウェアラブル、透明ヒーター、センサーなど様々な用途を狙っていく模様です。

Transparent Heaters (GEOMATEC Co., Ltd.)

ちなみに透明ヒーターとは上の動画のように、ガラスにヒーターが組み込まれていることで曇ったりなどせず視界を確保することが出来るようになるというものらしいです。初めて知りましたがすごい技術だと思います。

Statistaによると、スマートフォンだけを見ると、2020年には世界で13億台が出荷されていますが、ザイマージェンの開発している光学フィルムは折りたたみ式のデバイスです。DSCCレポートによると、2019年に販売された折りたたみ式デバイスはわずか50万台ですが、2025年までに年間8000万台を超えると予測されています。こうした市場の成長もザイマージェンの売上を後押しすると考えられます。

② コンシューマーケア

コンシューマーケア市場は、スキンケア、ヘアケア、衛生などのパーソナルケア(Statista Report on Beauty&Personal Careによると2019年には4,000億ドル以上)から、食器用洗剤および家庭用洗剤(Statista Report on Home&Laundry Careによると、2019年には1,500億ドル以上)まで、さまざまな製品カテゴリに細分化されています。

③ 農業

世界銀行によると、農業は世界のGDPの4%であり、さまざまな課題に直面しています。さらに、Elementaの調査によると、現在の予測では2050年までに地球上に約100億人の人々がいると推定されており、今後この市場は拡大を続けるのは確実です。

IHS Markit Reportによると、毎年4,000億ドル以上が農業に費やされており、その半分は肥料と作物保護剤によるものと推定されています。肥料と作物保護剤だけで450億ドルを超えると推定しています。

出典:SEC S-1 Filing

こうした背景もあり、ザイマージェンは肥料と作物保護剤に焦点を当てています。ザイマージェンの製品は天然由来の製品として分類されるので、従来の作物保護剤よりも最大2年早く規制当局の承認を得ることができると予想されており、こうした規制面でも有利なのが農業の市場です。

製品パイプライン

出典:SEC S-1 Filing
エレクトロニクス

2020年12月に発売したHyalineを含む、4つの製品で構成されています。ZYM0107とZYM0101も高性能光学フィルムであり、それぞれ2022年と2023年に発売される予定です。ZYM0103はザイマージェン初の接着剤製品として提供することが期待されています。

Hyaline(光学フィルム)
出典:SEC S-1 Filing

スマートフォン、タブレット、ラップトップへの利用が期待される高性能光学フィルムです。現在、プロセス研究を実施しており、量産化できるように体制を整えている段階です。2022年にはプロセス研究は終わる見込みとのこと。ディスプレイ市場だけでも2020年には10億ドルを超えると推定されており、この製品にはプリンテッドエレクトロニクスとフレキシブルヒーターへの活用も期待されています。

Z​​YM0103(接着剤)

バイオベースのエポキシ接着剤であり、スマートフォンでのコンポーネントの組み立てに特徴的な機能を備えています。

コンシューマーケア

ザイマージェンのコンシューマーケアのパイプラインは、4つのプログラムで構成されています。最も進んでいるプログラムは、2023年の発売を目標としている天然由来の防虫剤ZYM0201です。さらに、UVプロテクター(ZYM0205)、フィルムフォーマー(ZYM0206)および非公開プログラム(ZYM0207)があります。

ZYM0201(防虫剤)
出典:SEC S-1 Filing

2023年を目処に開発が進められています。有効成分は7時間以上作用し、皮膚への塗布と経口摂取の両方で毒性レベルが低くなっています。スプレーまたはクリームとして利用できます。また、ジェル、スティック、ファブリック、ペット製品、高級スキンケア製品への利用も検討されているとこと。

Transparency Market Researchによると、防虫剤の世界市場は、スプレーやその他の形式で15億ドルを超えています。さらに、米国の18歳から65歳までの2,750人の成人と、5つの世界市場の6,000人の消費者に、昆虫に関する懸念、昆虫保護に関する現在の行動、および関心について調査を座イマージェンは実施しており、防虫剤のニーズがあり、良い製品を作り出せればうまくいくと踏んでいます。

ZYM0205(UVプロテクター)

Euromonitorのデータに基づくと、2019年のサンケアの世界市場は117億ドルで、米国だけでも22億ドルであり、2019年から2024年の世界市場のCAGRは3.4%と予測されているにも関わらず、天然由来のUVプロテクターに対する顧客のニーズは満たされていません。ここにザイマージェンは目をつけており、現在1製品を開発中です。

農業
ZYM0301(窒素固定パートナーシップ)

あまり世間では知られていませんが、現在の地球に何十億人という人間が住んでいけるのは100年前の発見に依るところが大きいです。アンモニアを化学肥料に変える「ハーバー・ボッシュ法」は人類における屈指の発見の一つです。しかし、肥料向けに人間が作り出した反応性窒素(活性窒素種)の大部分は環境に残ってしまい、アオコや沿岸のデッドゾーン、オゾン汚染の原因となってしまっていることはさらに知られていない事実です。

こうした背景より、化学肥料に含まれる窒素を削減することは世界的な課題なわけですが、ザイマージェンのZYM0301はこれを解決する一助となるようです。

Launch Acceleration

私がザイマージェンの方針の中でもよく考えられているなと感じた点の1つが「Launch Acceleration」です。これはプロセス研究の段階で市場への投入にメリットがあると感じたものに関しては、非発酵(つまり微生物を使わない方法)の方法で市場に投入するということです。市場のシェアを得るにはこのような方法も必要であると思いますので、非常に有用であると思います。また、Launch Accelerationを利用するのは1〜2年で微生物による生産方法を確立することができることが条件としているところもいいなと感じたポイントです。

優秀な経営陣

経歴を見てみると、アミリスで元々務めていた人はもちろん、ノーベル賞受賞者ゲノム解析関連で有名なイルミナに務めていた人がいることを考えると、かなり優秀なのではないかと感じました。

Josh Hoffman氏

2013年4月にザイマージェンを共同で創設し、取締役会のメンバーを務め、2014年9月から最高経営責任者を務めています。

Jed Dean氏

2013年4月にザイマージェンを共同で創設し、2014年9月から運用およびエンジニアリング担当副社長を務め、2017年5月から2020年12月まで取締役会のメンバーを務めました。2008年3月から2013年5月までアミリスにいました

Mina Kim氏

2020年以来、ザイマージェンの最高法務責任者を務めている。

Aaron Kimball氏

2014年以来、ザイマージェンの最高技術責任者(CTO)を務めている。

Zach Serber氏

2013年4月にザイマージェンを共同で創設し、2014年9月から最高科学責任者を務める。アミリスに務めていた経歴もある

Enakshi Singh氏

2021年2月17日から最高財務責任者を務めています。

Steven Chu氏

社外取締役ではあるものの、レーザー冷却と原子トラッピングへの貢献により、1997年のノーベル物理学賞の共同受賞者である。

Jay T. Flatley氏

社外取締役ではあるものの、イルミナの最高経営責任者を務めていた

特許

現在までに約500件の特許出願と仮特許出願を行っており、そのうち約322件が係属中です。

ザイマージェン(Zymergen)の財務状況

出典:SEC S-1 Filing

2020年12月に発売したHyalineの収益はまだほとんど入っていない状況です。今後も大きな赤字は続くことが予想されます。

2019年および2020年12月31日に終了した事業年度において、それぞれ236.80万ドルおよび262.2百万ドルの純損失が発生しています。

ザイマージェンとアミリスの違い(タルボットの解釈)

① 利用している微生物の種類の多さ

アミリスは目的の物質の生産に利用しているのは酵母にかなり特化しているように感じます。それに対して、ザイマージェンは29種類の微生物を利用していることは大きな違いに感じました。

アミリスは酵母に絞ることで深い理解が得られるとも考えられる一方で、ザイマージェンの単一の微生物で生産できる物質には限界があると考える発想も正しいと私は感じました。

② プロダクトアウトかマーケットインか

アミリスは酵母によって生産された物質をどのように活用していくかを考える、いわゆるプロダクトアウト的発想であると感じたのに対し、ザイマージェンはどのような製品が欲しいのかというクライアントのニーズを汲み取って製品を設計するというマーケットイン的発想であると感じました。

どちらがいいという話ではないですが、このような違いがあるかと思います。

ザイマージェン(Zymergen)の将来性

さて、いかがだったでしょうか?私はザイマージェンに大きな将来性を感じました。当面は赤字が続くため株価が下がる展開になることは予想されますが、もし事業として軌道に乗った場合にはかなり支配的な企業になることは間違いないと思います。

アミリスとザイマージェンを比較した場合、私個人としてはザイマージェンの方が論理的にビジネスが組み立てられているような気がしてとても好きです。みなさんはどちらが好みでしょうか?

ではでは、また次回の記事で♪

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